2013年4月5日金曜日

顧客獲得単価と顧客生涯価値

新規事業で、値段設定やマーケティング計画をしていくときに一番大事なことは、顧客獲得単価(Customer Acquisition Cost)と顧客生涯価値(Lifetime Value)を試算することです。

要するに、顧客一人を獲得するのにいくらコストがかかって、その顧客からいくら売上(粗利)があがるのか、ということです。

ビジネスモデルを考える上で、ここを一つの中心として考えると、儲かるかどうかのキモをつかみやすいのではないかと思います。

ビジネスプランでは、将来の売上高などを予測することは不要です。そんなものは分かりっこないのですから。しかし、顧客獲得単価と顧客生涯価値の差は、そこそこ早期に理解することができます。プロトタイプなどを販売すれば実際の値に近い数値が見えてくるかもしれません。

当たり前ですが、顧客あたりの粗利が顧客獲得単価よりも低ければ、まったくビジネスとして成り立ちません。逆に、広告を打てば、顧客がどんどんやってくるのであれば、かなり良いビジネスになる可能性があります。


法人向けビジネスでは、顧客獲得単価が高くなるので、価格も高く設定して、顧客あたりの売上が高くなるようにしなければなりません。法人には「安いからとりあえず買う」という発想はあまりないのです。

法人向けビジネス、とくに日本市場では、フリーミアムのモデルは基本的には役立たないのではないかと思います。法人では、意思決定や、価格そのもの以外の導入コストが高いので、無料にしたからといって、さくっと使えるというわけではないからです。

それよりは無料お試し期間を設ければ良いのではないかと思います。(必要なら柔軟に伸ばしてあげれば良い)

メイシーは月額1980円ですが、顧客獲得にかかるマーケティングコストを考えると、ぎりぎりのラインだったなー、と思います。これより低い値段を設定していたら、広告販売することができずにぽしゃっていたでしょうね。


消費者向けのビジネスですと、単価がぐぐっと下がってくるので、このラインをうまく設定するのは至難の業になってくるかと思います。ゲームのように、分析を繰り返しながら、いろいろな製品や施策を多数繰り広げて、その中から良い物を探していくという長期戦・大規模戦になってくるのではないでしょうか。


広告を掲載して儲けるビジネスになると、さらに大変です。通常では、一回のページビューあたりの広告売上単価は最大でも0.2円以下になると思います。月に1000万ページビューあっても、せいぜい200万円の売上です。これはなかなか大変です。Adsenseを貼っただけだと、下手すると0.01円/PVとかにもなりかねませんし・・・

アフィリエイトなどの成果報酬広告をうまく載せて、うまくSEOするなど、いろいろやり方はあるでしょうが、良質なウェブサイトを作って、それで広告で儲けるというのは難しそうです...。

コスト面から見て広告で顧客を獲得するのが難しいので、そうすると必然的に煽るような記事を書いて、注目を集めて、ユーザーを増やすみたいな手法に頼りがちになるわけです。


この数値を考えてビジネスモデルを考えないと「どんなに大成功しても全く儲からない事業」になってしまうので、くれぐれもご注意を。

有名なマーケターの神田昌典さんなどは、顧客あたりの売上が10万円いかない製品は厳しい、と断言しています。それは極論かもしれませんが、法人向けならそれくらいのラインを目指したほうがいいですね。

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